二重 手術のプロが集結
最近、花粉ゼロのスギ増殖に成功したというニュースがある。
一九九二年、富山県林業技術センターのH・A氏らのグループによって、雄花が花粉をつけない「雄性不稔」という特性を持ったスギの個体が発見された。
今後、新品種として選抜されて雄性不稔を示すスギ苗の生産が実用化されれば、長期的に見て花粉症の根本的対策につながる可能性があると思われる。
いまは花粉症で話題になっているが、スギはヒノキと並んで将来的にも有用な造林樹種である。
スギが現在、日本の針葉樹人工林面積の四五%を占めていることは前述したが、もしいまのスギを有効利用すれば、十分、日本で使用される外材を補うだけの価値があるといわれている。
したがって、今後は、花粉症の心配の少ないスギの美林への回復と新技術開発への施策が切に望まれるのである。
カバノキ科で重要なのはシラカバ属のシラカバで、亜寒帯に分布し、北海道以外では高地に多い。
日本以外では北欧に多いのがシラカバ花粉症である。
花は四月に開花し、北海道では代表的な春の花粉症で、イネ科、キク科のヨモギ属の花粉症と並んで多い。
ハンノキは全国の低山帯、平野部に自生し、開花期は一〜五月で、やはり尾状花序を示す。
スギ、ヒノキ科のシーズンに開花期が重複するので、その花粉症は見逃されやすい。
本州の春の花粉症で、原因にスギ、ヒノキ科が否定された場合には、まずハンノキ花粉症を疑うべきである。
ハンノキ属のヤシャブシによる花粉症はN耳鼻咽喉科のN・S氏らのグループによって兵庫県で一九九○年に報告された。
宅地開発にともなう治山や緑化を目的に植林されたものが、最近になり着花年齢に達し、飛散花粉を増加させ発病にいたったものである。
スギ花粉症のミニ版ともいわれ、森林環境と花粉症を考えるうえで、今後も追跡研究すべきものと思われる。
花粉症の原因として重視されているイネ科植物の多くは、明治の初期に輸入された牧草で、いまでは帰化植物として牧草地から路傍に逸出して雑草化し、全国いたるところに生育している。
代表的なのはカモガヤ、オオアワガエリ(チモシー)、ホソムギ、ナガハグサ、ハルガヤなどである。
これらのイネ科の花粉症は元来はヨーロッパで多い花粉症である。
初夏に花粉を飛散させるが、空中花粉調査では種の同定が困難で、イネ科に一括される。
しかもイネ科花粉の間には共通抗原性が濃厚にあるので、一括してイネ科花粉症といわれている。
なかには特殊な事例であるが、興味深いイネ科花粉症の集団発生の報告もある。
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